その他ボーカルに良く使われるエフェクター

基本的なミックスは今まで紹介した「イコライザー」「コンプレッサー」「リバーブ」の3つのエフェクトだけで十分可能です。
それ以上のミキシング(エフェクター)は面白い効果を出したり過激な音変化で新しい音を作ったりする場合に使用されます。
ここではわりと良く使われるエフェクターを紹介しておきます。

ディレイ

ディレイはリバーブに似た効果があるエフェクターです。
リバーブは部屋の残響音をシミュレートするのに対して、ディレイは反射音をシミュレートします。

残響も反射も似ているのですが、ディレイはいわゆる「やまびこ効果」が得られます。
細かいディレイの集合がリバーブになります。
リバーブとディレイ、場合によってはコーラスというエフェクトをまとめて空間系エフェクトと言います。

ディレイは別名エコーとも呼ばれます。
一般的な感覚ではエコーというとリバーブのことを指すことが多いようですが、オーディオ編集の場ではエコーといえばディレイのことです。
(まぁ人によりますけれど)

Audacityのディレイは「エフェクト」→「Deley」から呼び出します。

Delay type
ディレイの種類を設定します。
regular:通常のディレイ。
 等間隔で音が遅れる。
bouncing ball:間隔がだんだんと早くなるディレイ。
 ボールが地面に跳ねるような…という意味らしいです。
reverse bouncing ball:間隔がだんだんと遅くなるディレイ。
 bouncing ballの逆。
Delay level per echo
一回ディレイが鳴るごとに減っていく音量の設定。
-6dBだと一回ごとに大体半分の音量になります。
Delay time
ディレイタイムの設定。
ディレイが鳴る音の間隔を設定します。
Pitch change effect
ディレイ音のピッチ(音程)を変化させる際の設定。
Pitch/Tempo:通常モード。
LQ Pitch Shift:だんだん音質が低下するモード。
pitch change per echo
一回ディレイが鳴るごとに変化させる音程の変化量。 数値がプラスになるほど高く、マイナスになるほど低くなります。
Number of echoes
ディレイ音が鳴る回数。
 
Allow duration to change
ディレイを適用した場合、波形の長さを変化させるかどうかの設定。
Yes/Noはそのまま「はい」か「いいえ」。
 

ディレイの設定は「ディレイタイム」が肝です。
その曲のテンポどおりに、丁度四分音符や八分音符の長さなるように設定するときれいに聞こえます。

しかし曲のテンポ(BPM)を計るのはちょっと難しいです。
ネットにはテンポを計測するフリーソフトなどがありますので利用してもいいかもしれません。

四分音符の長さは
60÷テンポ×1000
で計算できます。

BPM120の曲なら500(ms)、BPM80の曲なら750(ms)が四分音符の長さです。
八分音符ならその半分になります。
msとは「ミリセカンド」のことで、1/1000秒をあらわします。

ディレイタイム以外の設定は初期設定のままでかまいません。
「Number of echoes」でディレイ回数の設定を変更するくらいで良いでしょう。

ディレイにはなぜかプレビューボタンがありませんので、一度OKしてみて効果が気に入らなければアンドゥ(Ctrl + Z)しましょう。

エキサイター/エンハンサー

エキサイターもエンハンサーも同じものです。
これらは音の高域成分を上げてハッキリとした音、元気な音に加工します。
イコライザーで高域を上げるのとはまた違った仕上がりとなります。

このエフェクトはAudacityには搭載されていませんので、新たにVSTプラグインを追加する必要があります。
(VSTプラグインの導入方法は別途解説します)

コーラス

コーラスは原音にわずかにピッチ(音程)をずらした音やピッチを揺らした音などを加えることで音に厚みを持たせるエフェクトです。
掛けすぎると音がにごるので注意が必要です。

このエフェクターもAudacityには搭載されていないのでVSTプラグインで追加する必要があります。